諸君は報われる!! 天安門でだーっ!!
2004年5月29日 ちょいシネマ映画 大閲兵(1985) 中国作品
Big Military Parade
手動バリカンでゴツゴツ頭を刈り合う、固形シャボンで互いに流し洗う風呂場
の描写。それらを克明に描き出す。
1時間30分、40度の炎天下ただ立ち続ける事の訓練。全体としての不動の
黒い塊が夢幻の如き陽炎となってゆるゆると小刻みに揺れるショットは異様
だ、、ひとり、二人と倒れるものが出る、
医務斑の白衣がそれを運び出す、20分休憩後次の訓練へ、、炎天の中同じ角
度、歩幅、歩数をもて乱れず行進する事を求められるー短パンから覗く素足は
未だ幼い少年のそれだ。
雨中の足立ち訓練。揺れる 倒れる 立て!!
調子の悪いヤツは休んでいろ!
帰って来た兵舎、体育館のような造りに並べられた簡易ベッドにただマグロの
様に身体を並べて横たわって眠る、、
兵の一人、呂は言う
これはいったい何なのだ!!
400名の人間が朝から晩まで一体何をやってるんですか!
ただ歩くだけのロボットじゃないか!
ええッー!? いまの人間が閲兵に熱狂しますかーー!?
ある兵は、逃げ出して穫り入れの農場に紛れ込んで男や少女とともに麦を積ん
で、人間性を取り戻す。
ある兵には母の死去報がもたらされる。
兵はしゃくりあげて遮二無二泣く、、
軍隊1年の彼に上官は粗末な袋に隊の備品の土産を詰めてもたらす、しかし少
年は途中で帰って来る。天安門の晴れの舞台を母はただ望んでいたのだ
と、、、
ある兵は恋人の父に言われた。新しい服を着て天安門広場に立てと閲兵の姿を
見れば婿にしてやると、、、
一方ここに入隊して15、6年孫教官にも苦悩はあった。従軍体験もなく、戦
功は無論なし、やる事と言えばは農作業、土木工事への出動、あとは訓練ばか
り、、彼にとっては閲兵式は言わば出世のチャンスだった。しかし彼は浴室で
昏倒した。
弱くも無い、剛くもないそんな人間の生の姿が描かれていた。
厳しい訓練の結果、各隊から五名ずつ落さねばならない。北京行進は限られて
いるのだ。誰を落すか、上官たちは苦悩する、、
諸君は報われる!! 天安門でだーっ!!
訓練は終わった。北京行きを前にして孫は壇上に立って檄を飛ばす。
(落されるべきは自分だと心に決めて、、)
Cgiではおそらくないであろう全景の大写。
動く幾何学模様と言うか、戦ぐ絨毯というか
1984年10月1日の建国35周年を祝う天安門広場での閲兵式は始まった。
そこには呂と孫教官の姿は無かった。
四か月に999キロ歩行訓練し、天安門を行進するのはただの96歩、一分に
も満たない時間であった。
「黄色い大地(1984)」の陳凱歌監督作品。
全巻にわたって笑いのシーンが少しも見えなかったのが気になった。
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